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ヨコクラノカベ

2008/03/12 18:03
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先週水曜日突然思い立って
その週末に1泊2日蔵王温泉へ。

スキーをかじる者にとって
“蔵王”といえば“横倉のカベ”、“横倉のカベ”といえば“蔵王”。
最大斜度38度。250m。上から覗くと垂直に近く
全面に、ひざの高さもあろうかコブがならばさっちゃって、どうしよう?
というカベだ。
テクニックよりもまず度胸が必要。と
ほとんどのコースガイドに書いてある。

コース下から横倉のカベを見ると
首の角度は、まさしく‘見上げる’角度になる。
そして、「(上村)愛子ちゃんはすごいなぁ。」と心から思う。

2日目に、横倉のカベの入り口に立ってみた。
数年前の私だったら、もちろんブザマながらに降りていただろう。
と、思った。
さすがに30歳をすぎると、後先を考えてしまうものだ。

滑るより転んでいる方が距離が長くなることだろうし
これから3時間半、クルマで帰らなくてはいけないし
昨日転んでぶつけたらしい体のあちこちが痛い気がするし
ブーツのバックル辺りの筋肉がしびれてるし
ケガをして帰ったら、両親に笑われるだろうし

そんなことが、垂直に落ちていくコースの入り口で
一瞬に駆け巡ってしまった。
そして迂回コースを選んだ。

スキーをこよなく愛している両親は
蔵王から帰った私への第一声が
「横倉のカベやった?」だった。
やってない。と言うと
「大人になったのねぇ。」とニヤニヤしながら言った。

ニヤニヤしている両親を前に心に決めた。
来シーズンも、蔵王に行ってやる。
(十分なストレッチの後)最初の滑走であのカベを滑る(落ちる)。
多少の痛みが残るような転び方をしても
‘転び方は、大人らしくうまくなっている。’ということが今回の学習成果だ。

さらさらとカベを滑る、周りのスキーヤーには申し訳ないけれど
やっぱり経験しておかなくては。と思う。

そして、何といっても蔵王温泉のお湯は
多少のケガも治っちゃうんじゃないか?と思えるほど
いいお湯だということも、今回学習済みなのだ。


けれど昨日夢にみた。
ヨコクラノカベを滑る、という前に250m一気に転び落ちた夢だった。
コース下まで転び落ちて、カベ見上げた私が
どこかに飛んでいった、板とストックを探している。
そんな夢だった。
今朝、何だか体のあちこちにダルさがあった。
・・・・・・。
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美術館と生ビール

2007/08/17 13:51
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9日間の夏休み
初日の予定が急遽変更になり
何でもわがままが言ってしまえる誕生日でもあったため
イキオイ付いて一泊二日で東京へ。

一番の目的は念願の原美術館に.。
えらく興奮しながらも、奈良美智のキャンバスを前に呆然とし
原美術館≒現代美術ならではの空気をこころゆくまで吸い込んで
暑さもあったのか、美術館をでると体がふわふわした感覚になった。

夕方、おのぼりさんらしく東京タワーに行ったものの
東京湾大華火祭にぶつかり、海側大混雑の展望台を避けつつ
省エネって何のこと?らしい、おびただしい品のない明りを
ぼんやり眺めて、ヒルズ族を見下ろすことをちょっと堪能。
「美しい」と「綺麗」の違いがはっきりわかる。と思った。

翌朝、ルームサービスの朝食が運ばれる前に
夫の休日の朝お決まりの
カップラーメン&缶ビールが登場し
(夫にとっては、前夜の‘しめのラーメン’なのだそうだ)
大都会を見下ろす、ステキなホテルの一室で
じゅるじゅるすする日清カップヌードルシーフードは
なんだか高級な味がした。気がした。

そしてホテルでのんびりしてから、恵比寿ガーデンプレイスへ。
もちろん目的は東京都写真美術館
二度目の今回は、3つのフロアを一気にまわってしまったため
最後は脳と体がくたくたになりつつ
想像以上のボリュームと、予想以上の作品群に圧倒されっぱなしで
しかも、私が一番好きな写真家・木村伊兵衛の作品が数点あったこともあって
まるで蟻地獄に落とされたみたいに、平常心が遠のいていく気がした。
どんなにもがいても、リアルを写し撮ったものには敵わない。
そういう衝撃と感動。

そして
帰りの電車を待つホームで、イキイキと缶ビールを買う夫。
一泊二日で、幾度となく夫がふと立ち止まり、つぶやいた「ガソリン切れ」
嫌な顔ひとつせず(させず?)
‘黙ってついていく’に徹した夫の燃料はビール。
いつだって、燃料はビール。
いつもの休日の、‘ランクル並み’の燃費の悪さが、
暑い東京では、さらに‘ハマー並み’に燃費が悪くなっていた。


「これってアート?」
「それってアート。」
  
 「生ビールお待たせしましたぁ」 ドンっ。
   「プハァー  ・・・アートだねぇ」

ビールさえあれば、夫を好きにあやつれる。
結婚2年目の32歳の誕生日。
じみーに、夫の健康を祈る日になった。

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魅惑の散歩

2007/06/06 20:39
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今週明け、一泊二日で日光へ。
日光は新芽の季節がすぎ、ヤシオツツジが見ごろを迎え
淡い緑と深い緑が、まるで東山魁夷の絵のように
淡々と、そして、颯爽としていて
凛とした空気が、たまらなく気持ちよく
初日はもちろん植物園
二日目はいつもの戦場ヶ原。
“歩く”という単純動作がシアワセに思える散歩をした。

植物園は
『国立大学法人 東京大学大学院理学系研究科附属植物園日光分園』
という正式名称通り、まぁ、すごいトコロだ。
そしてそこは、私の日光おすすめスポット第一位でもある。
「疲れたココロとカラダを癒す」場所で
「植物の名前はどうでもよい」植物園だ。
「おにぎり持参はさらにステキ」な場所でもあり
「ここぞとばかりのマイナスイオンに浸かってね」
というトコロだ。

でも、今回の一番の目的は
日光での定宿ホテル“メルモンテ日光霧降”が閉鎖になり
めでたく“大江戸温泉物語”にそのまま買収されたようなので
気になって気になって、宿泊しに。
・基本変わらず、環境に少しやさしくなった
・アルコール類が寂しい
・さすが“系列”。されど“買収”
という変化。 で、まずは一安心。

そして、また
「週末晴れたら日光行こうか」と、話している。
戦場ヶ原を歩いていて、よさそうな登山コースを見てしまい
いてもたってもいられない気分でいる。
行ってみたい日帰り温泉もある。

家から遠くに見える男体山は、日光は、年がら年中「おいでおいで」をしている。
夫や私だけではなく
父は「男体山がオレを呼ぶ」と表現するし
母は「東照宮の眠り猫が、招き猫になって夢にでる」と真顔で言う。
訪れる目的はそれぞれ違っていても
「はい。どうぞ。ごゆっくり。」的雰囲気に、その空気に、
「魅惑の散歩」はいつまでも終わらないなぁ・・・
と改めて思う、今日この頃。
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直島の記憶

2007/04/10 20:21
昨年、母と「2泊3日アートの旅」をした。
ずっとずっと念願だった旅。
行先はイサム・ノグチ庭園美術館直島

帰りの機内で、母がポツリと言った言葉
「もし、今回の旅がどうだったかと誰かに聞かれても
お母さん、ぜんっぜん答えられない。」
その言葉はあの旅の全部を集約していたと思う。

見たもの全てが“衝撃的”で
言葉で表現することは“完全不可能”で
帰ってすぐに直面する家事や仕事の現実を前に
しばらくは記憶を封印してしまった。
けれど、あの旅をしたことをどうしても伝えたい人には
「すごいところよ」ぐらいの軽率さで、少し話しをするにとどまっていた。

けれどまだ「また行きたい」とは思えない。
なんで行きたいと思えないんだ?と思った時、感じてしまった。
あの旅を思い出すと、心の奥隅にダンゴ虫がいるような気分になる。
カサカサカサカサカサカサカサカサ
心臓に近い辺りで音がするような
何かがうごめいているような、そんな気分。
1年近くたった今でも。
あの度肝を抜かれた衝撃から
私は未だに立ち直れていないのだと最近気づいた。

母にとっては
「あれは夢の中で旅していたような感じ」なのだそうだ。
1年近くたった今でも。
そして、私にはまたあの旅をするチャンスがあるだろうと言い
一緒に行くであろう夫には釣りでもしていてもらいなさい。と言う。

そう。夫は美術にさっぱりな人なので
そういう人があの体験をしたらどんな風に感じるのだろう。と気にはなる。
けれど、痛いところはお高めな入館料・旅費もろもろで
再度旅するにはしばらくお待ちください。という家計の事情がある。

数年か数十年か。
心の奥底のダンゴ虫は、まだまだ生き続けていくのだ。







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日光

2007/03/14 20:15
東照宮で知られる日光を、一言で表現するとすれば
「凛とした」
という言葉にくくられる。

日光は「凛としている」ではなく
「凛とした」空気に覆われている気がする。
その二つの表現の、どこがどう違うのかと問われると説明はできない。

家から車で1時間弱
“日光へ行く”というより、
“日光に逃げ込む”ように、私は度々そこを訪れる。

たどり着いてまずは存分に空気を吸う。
呼吸を意識することは、日常では滅多にない。
けれども、あの場所では妙に空気が吸いたくなるし吐き出したくなる。
夏は涼しく、冬は凍えるあの空気。

目的は温泉だったり、登山やハイキングだったり
初詣だったり、山椒の花の佃煮を買うことだったり
国宝級の絵を見に行くことだったり。
けれども、その多くは全く目的がないらしく
着の身着のまま気づくと日光。ということが多い。

目的があってもなくても、日光という場所は人をきちんと受け入れてくれる。
凛とした空気をもって。

年に数回は日光の霧降高原に1泊2日の宿泊をする。
今月末で閉館の「メルモンテ日光霧降」が定宿だった。
メルモンテには天体館があって、そこに大きな天体望遠鏡がある。
先週最後の宿泊をし、毎回悪天候でできなかった天体観測が
最後の最後でやっとできた。
見えたのは土星とその環。
そして、夜中に雪が降り出した。
定宿が無くなってしまうことがとても寂しく
空気が冷たく、温泉は心地よく。
私にはそんなしめくくりだった。

「なんでそんな近場にわざわざ泊まるの?」とたまに聞かれる。
それは真夜中の日光を見てから聞いて欲しい。と、いつも思う。
そして、近場に泊まる優越感、帰るときの充足感、味わって御覧なさいよ。
と言ってやりたい、とも思う。


1時間弱で、あの空気。
常に密かに心にとどめている。

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